行政書士試験に独学一発合格した話・テキスト

 行政書士試験は、一般的にはいわゆる難関資格とみなされています。例年の合格率はおおむね10~15%程度で推移し、予備校に通いながら2~3年をかけて合格した人も珍しくありません。
 しかしながら、必ずしも独学が不可能という試験でもありません。適切な勉強方法と時間を確保すれば十分合格が狙える試験です。

 ここでは、テキストの選び方と使い方のお話。

考え方

 試験勉強は、テキストを読む→問題演習をする、というインプットとアウトプットのサイクルを徹底して何度も繰り返すということに尽きます。
 テキストは、1冊基本となる教科書を決めれば最初はOKです。そのほか行政法、民法など各法律分野特化のテキストや行政書士試験に特化した六法なども出版されていますので、必要に応じてそろえましょう。
 問題演習は、最初のうちは過去問を何度も回し、試験範囲を一通り学習し終えたら予備校各社の模擬試験を受けたり出版されている予想問題集に取り組むという順序で取り組みました。

テキスト

基本テキスト

 教科書は大手予備校各社がそれぞれ出版していますが、正直どれを選んでもよいと思います。大手資格予備校のテキストですから、合格に必要な知識は実際に書店に足を運び、自分の性格に合わせて選んでみてください。

 参考までに、私が基準にしたのは次の2点でした。

  • あまりカラフルでないこと(カラフルだと視線がとっ散らかって集中しづらいと思ったので)
  • 区切りをつけやすい構成であること

 私は東京リーガルマインド出版(LEC)『合格基本書』を選びました。2色刷りで読みやすく、各分野ごとに見開き完結になっているので計画も立てやすいと感じました。

 予備校出版の基本テキストがあれば合格に必要な知識は十分網羅されていると考えてよいですが、過去問や問題演習に取り組むとテキストに載っていない論点が含まれていることがあります。
 国家試験対策のために行政法や民法に特化したテキストがありますので、慣れてきたら準備してもよいかもしれません。

六法

 私は行政書士試験対応の六法を当初から使用していました。解答根拠を条文から拾っていくことはとても重要であり、また条文を読むことはそのまま記述問題対策にもなってきます。

 私が使用していた早稲田経営出版『行政書士試験六法』は試験範囲となる法律の条文や関連する判例、過去出題された選択肢が掲載されており、テキストや過去問の学習を定着させたり内容を理解するのに非常に役に立ったと思います。ただしやや上級者向けのテキストと見る方もいるようですので、『ケータイ行政書士ミニマム六法』など類書と比較してこれも使いやすいと感じるものを選んでください。

記述問題対策

 行政書士試験では記述問題が出題されますので、もちろん記述問題用のテキストも出版されています。私も東京リーガルマインド出版のものを購入して取り組みました。(ただし私は最後までは解かずに試験本番を迎えた記憶があります。笑)

 記述式は部分点がもらえますから、条文や判例をしっかり頭に入れて、論点のさわりだけでも書き出せるようにしておきましょう。そのうえで記述問題集にあたり、知識の定着を図ってみてください。

問題集

過去問題集

 勉強を始めた最初の段階では、基本テキストに合わせて過去問題集は必携です。その日に読むと決めたテキストの単元に対応した過去問を、読んですぐ読み込みます。私は基本テキストに合わせて、東京リーガルマインド出版のものを使っていました。解答解説に合格基本書の対応ページが記載されていましたので、効率的に学習が進むと思います。基本テキストに他社出版を使う場合も、両者の解説が紐づけられているようであれば出版社をそろえたほうが良いかもしれません。

 ポイントは最初の段階では正解しようとしなくてよいということです。ある論点に関して試験がどういう問い方をしてくるのか、それに対してどういう論理で解答を返すのかというプロセスを眺める感覚です。どうしても何か解答を定めて解説を読まないといけないという気持ちがあるなら、適当に「えいやっ」と選択肢に○をつけて解説ページに進みましょう。

 このとき、ただ解説を流し読みするのではなく、問題分のどの箇所を根拠に選択肢を排除しているのか、あるいは正解と判断しているのかを丁寧に読み解き、そのうえで改めて基本テキストに立ち返ります。学習段階では正解を当てることよりも解答根拠を押さえていくことが重要です。

予想問題集

 基本テキスト掲載の試験範囲をおおむね学習しおえる7~8月ごろになると予備校が模擬試験を開催しはじめます。私はそのうちLEC主催のものを2回受けました。LECを選んだのは、使っていたテキストがLEC出版だったからというだけの理由です。笑
 自宅学習だけでなく、実際の試験の流れや雰囲気に慣れるため、実際に試験会場で監督員のいる環境で模試を受けるのは有益だと思います。

 このほか、各社出版の予想問題集を買いあさりかたっぱしから解きました。記憶にあるのは、LEC出版、TAC出版、成美堂出版、早稲田経営出版、伊藤塾出版の5冊で、それぞれ試験3回分程度の予想問題が収録されています。これらを順に解いては解説を読み込み、自分の解答プロセスが間違っていたり判断しきれなかった論点を基本テキストと過去問に立ち戻ってインプットしなおしました。解くときにはもちろん実際の試験時間である3時間を計って実施しましょう。
 一回分の問題を何周も回すというやり方の人もいらっしゃると思いますが、私は一回解いた問題を繰り返すということはしませんでした。これだけの分にあたればどのみち同じような論点に何度も当たりますし、吸収し切れていない論点は何度もテキストに立ち返ることになります。それで十分だと思います。
 ちなみに、よく予想問題の的中率というのが話題になりますが、私はあんまり気にしませんでした。

 模擬試験や予想問題集を解いていて、点数をいくらとれるかというは気になるところだと思います。もちろん高得点が取れるに越したことはありませんが、私は模擬試験や予想問題集で合格点(300点満点中180点)を超えることはついにありませんでした
 ここでは自分のインプットが不十分なところを洗い出すことが主目的だと思って取り組み、得点に一喜一憂する必要はありません。最終的に本番で合格点を叩き出せばよいのです。
 こうしてみると大学の入学試験を思い出します。浪人していたときも、志望校のA判定が出たのはセンター試験(当時)が初めてでした。

その他の参考資料

法律学習の導入として

 法律初学者の方が法律を勉強する際、法律独特の言いまわしに苦戦することがあります。民法の「善意/悪意」はよく知られている例です。法律での「善意」とはある事柄を知らないこと、「悪意」とは知っていることを指します。「善意の第三者」などの文言がよく出てきます。

 私は大学で憲法や法律学の講義を受けていたり一時公務員試験の勉強をしていたこともありまったくの初学者ではありませんでしたが、次のシリーズは法律を読むうえための導入書として大変面白く、読みやすいと思いましたので紹介します。

 ダイヤモンド社『元法制局キャリア吉田利宏が教える 法律を読む技術・学ぶ技術』吉田利宏
 (2024年現在第4版)

各法律の参考書として

 試験範囲のうち、特に民法と行政法は出題数も多く配点も大きいため絶対に落とせない科目です。しかし民法は条文の運用力、行政法は条文や判例の知識を詳細に問われるため、基本テキストのみではやや不足を感じる方もいるかもしれません。
 そこで、各法律に特化した参考書を副読本として持っておくのもよいと思います。私は次のシリーズの行政法、民法のものを適宜参照していました。(もちろん基本テキストで十分という方はそれでよいと思います。あくまで補強用です。)

 自由国民社『国家試験受験のためのよくわかる民法』 神余 博史
 (同シリーズで行政法、憲法、会社法も存在します)

 法学書院から出版されている『民法がわかった』などのシリーズも類書では有名ですが、最新版は現在絶版になっているようです。

 なお、学者さんが執筆しているような分厚い書籍は不要です。法学部の学生が専門的に勉強するためのアカデミックなものですから、行政書士の試験対策としては内容が重たすぎます。

ネット上のサービス

 ネット上で行政書士試験の勉強ができるサービスに、合格道場というサービスがあります。こちらでは直近10年の過去問と解説が掲載されており、私は隙間時間にこのサイトで過去問をひたすら解いていました。
 有料サービスに登録すれば大量の練習問題を解くこともできますので、もしスマートフォンなどで隙間時間学習をしっかりやりたいと考える場合は有料会員登録を検討してもよいかもしれません。