風俗営業法の許可や届出にあたって問題になることに一つに、「保全対象施設」があります。保全対象施設の敷地から一定距離内の区域では風俗営業許可を得ることができません。
本稿では、この保全対象施設についてお話します。
「保全対象施設」とは
風俗営業法第4条第2項第2号では、一定の基準に該当する区域内に営業所がある場合は公安委員会は許可をしてはならないと規定しています。これを受け、政令と都道府県の条例によって具体的な基準が定められています。
法第4条第2項
公安委員会は、前条第一項の許可の申請に係る営業所につき次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、許可をしてはならない。
二 営業所が、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるとき。
大阪府では府の法施行条例により、次の各施設を「保全対象施設」とし、当該施設の敷地から100m以内(保全対象施設が商業地域内にある場合は50m以内)の地域を風俗営業の制限地域としています。
都道府県ごとに条例で指定されていますので、注意が必要です。
学校
学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校若しくは同法第百三十四条第一項に規定する各種学校のうち主として外国人の幼児、児童、生徒等に対して教育を行うもの
※学校教育法第一条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする
保育園等
就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第七条第一項に規定する保育所
病院
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条の五第一項に規定する病院
診療所
医療法第一条の五第二項に規定する診療所(患者を入院させるための施設を有するものに限る。)
「病院」と「診療所」の法律上の違いは入院設備の規模によって定めれており、20人以上の患者を入院させる施設を有する場所を病院、19人以下か入院施設を有しなければ診療所と呼びます。
大阪府では入院施設が1人分でもあれば保全対象施設に該当することとなります。
例外地域
大阪府では、既存の繁華街には保全対象施設と風俗営業が混在し法の執行が難しいという理由で、大阪市の一部地域で距離制限を受けないことになっています。
同様の地域があるかは都道府県によって異なりますので、条例の規定に注意が必要です。
| 区分 | 地域 |
|---|---|
| 大阪市北区 | 梅田一丁目(1番から3番まで及び11番に限る。)、角田町(1番及び5番から7番までに限る。)、神山町(2番から10番までに限る。)、小松原町、曾根崎一丁目、曾根崎二丁目、曾根崎新地一丁目、太融寺町、兎我野町、堂島一丁目、堂島浜一丁目、堂山町(1番から13番まで、16番及び17番に限る。)及び西天満六丁目の区域 |
| 大阪市中央区 | 心斎橋筋一丁目(5番及び6番に限る。)、心斎橋筋二丁目、千日前一丁目、千日前二丁目、宗右衛門町、道頓( )堀一丁目(1番から10番までに限る。)、道頓( )堀二丁目、難波一丁目、難波二丁目、難波三丁目、難波四丁目、西心斎橋二丁目(3番から8番まで及び13番から16番までに限る。)、東心斎橋一丁目(5番、6番、15番及び16番に限る。)及び東心斎橋二丁目の区域 |
現地調査
保全対象施設の所在を網羅したデータ等があるわけではないため、該当地域を実際に歩いて調査し、必要に応じて関係機関に問い合わせるほかにありません。
調査の結果営業不可であることが判明した場合は、当然別の物件に変えなくてはなりません。
もし距離が微妙な場合は、念のため別の物件を探すか、測量士さんに依頼して保全対象施設等からの距離を厳密に測定してもらうことになります。
ただし、上記のように距離制限を受けない地域に営業所を設ける場合は、現地調査を省略することができます。
範囲も広いため時間と手間のかかる作業ですが、保全対象施設を見落としたまま物件を契約してしまうと、許可が下りず大きな損害につながる恐れがあります。
許可申請が必要なお店を営業したい場合は、物件を契約する前に行政書士に相談し、調査を依頼しましょう。
)堀一丁目(1番から10番までに限る。)、道頓(
)堀二丁目、難波一丁目、難波二丁目、難波三丁目、難波四丁目、西心斎橋二丁目(3番から8番まで及び13番から16番までに限る。)、東心斎橋一丁目(5番、6番、15番及び16番に限る。)及び東心斎橋二丁目の区域